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某日、某所に現れたのは、パチンコ牙狼シリーズの歴史を塗り替えた大ヒット機種であるシリーズ3作目「CR牙狼魔戒閃騎鋼」、シリーズ5作目「CR牙狼金色になれ」のプロジェクトメンバー(以下PJメンバー)。1時間半におよぶ意地とプライドをかけた熱いトークで明かされた開発ドラマとは??。

■参加メンバー

「CR牙狼魔戒閃騎鋼がろまかいせんきはがね」開発チーム(以下「鋼チーム」)

IC(商品企画/2007年入社)
「三度の飯より牙狼が好き!」と公言するほど、“牙狼愛”に満ちたチームの舵取り役。初代CR牙狼以降、出玉規制によって、ユーザーの期待に応えるスペックが実現できない中、もがき苦しみながら、本作で新たな活路を見出した中心人物。
KB(申請/2006年入社)
初代牙狼が大好きで、2作目からPJメンバーを志すも撃沈。「初代牙狼をこれだけ打っている人間は他にいないはずなのに・・・」と凹んでいたところ、急きょ、助っ人としてチームに加わることに。正式に牙狼開発PJメンバーとなったのは6作目から。

「CR牙狼がろ金色こんじきになれ」開発チーム(以下「金色チーム」)

FJ(商品企画/2014年入社)
学生時代から牙狼シリーズに魅せられ、いつしか「牙狼の開発に携わりたい」と思うように。新卒で別の会社に就職するも、牙狼への想いを断ち切れずサンセイR&Dの門を叩く。面接で牙狼への情熱をぶつけ、そのままプロジェクトのメンバーに。
IN(構造設計/2001年入社)
確かな技術と経験が買われ、PJメンバーからの指名でチームに招集される。今だから言える話だが、当時は牙狼に興味がなく、「ガロ」と読むのか、「ガロウ」と読むのかも知らなかったのだとか。現在は、牙狼の大ファンで、牙狼の監督からの信頼も厚い。

圧倒的なスペックとギミック。
伝説のシリーズはいかにして生まれたのか!?

― 本日は、お集まりいただきましてありがとうございます。両シリーズの開発担当の皆さんに、開発秘話を含め今だから話せるウラ話などを伺っていきたいと思います。

一同:よろしくお願いします!

「前例のないことをやらなきゃ意味がない、そんな想いで立ち上がった」(IC)

― それではまず、シリーズ3作目、CR牙狼魔戒閃騎鋼について、鋼チームから開発機種の特徴をご紹介いただけますか?

IC:CR牙狼魔戒閃騎鋼(以下『鋼』)は、新たに『V確変システム』を搭載したMAXスペックのパチンコ機。大当り確率1/399.6、確変突入率50%・継続率約77%、大当り出玉が2,000発という、それまでの市場になかったスペックを実現したのが最大の特徴です。

KB:『鋼』がV確変システムで確立したスペックは、4作目の「CR牙狼FINAL」、5作目の「CR牙狼金色になれ」にも、受け継がれています。

― V確変システムを開発することになった経緯について、教えてください。

IC:実は、申請担当からのシステムの提案が、きっかけだったんです。

― 法律や規則の担当である申請が「システム」の提案をするというのは、どういうことですか?

KB:前例のないシステムを搭載する時、それが規則や法律をクリアできるかが、最大のハードルになってきます。『鋼』以前の機種では、連続して大当りを引く“連チャンモード”に入るかどうかを内部のソフトで決めるシステムを採用していました。それに対して、V確変システムは、アタッカー内にあるVゾーンを球が通過することによって決めるシステム。このアイディアを、規則に反せずに実現できるよう、手だてを考えたのが申請でした。

― なるほど。パチンコ機は、定められた規則や法律に則り、「保安通信協会」の審査に合格しなければ、市場に出すことはできませんからね。では実際、V確変システム実現にいたるまでには、どのようなご苦労があったのでしょうか?

KB:実は私、実際は鋼チームの正式なメンバーではなかったんです。ある日突然、「V確変システムを搭載したい」ということで声がかかり、急きょ開発に加わることになりまして。当初『鋼』は、V確変システムなしでほぼ出来上がっていましたから、「本当にやるの?」という感じでした。

「スペックのカギを握るシステムを、約3ヵ月で完成!どんなもんじゃっ!」(KB)

― ほぼ実機が完成した段階で、急きょ搭載が決まったということですか?

IC:はい。別のシステムを搭載した形で、ほぼ確定していました。それをひっくり返して、約3ヵ月の超短期間で完成させた。まさに「伝説」を創った!と言えますよね(笑)

KB:通常、パチンコ機は約2年かけて開発しますから、スペックを左右するシステムを約3ヵ月間でやり遂げたというのは、相当ですよ!これは、金色チームでは無理でしょうね(笑)

FJ:いやいや、ウチだって余裕ですよ! と言いたいところですが、3ヵ月の間に、システムを入れて、構造物も設計しなおして、検証まで終わらせたってことでしょ?それは、素直にスゴイと思いますよ。

IN:牙狼シリーズは、役物がガチャガチャ動くのが特徴なのですが、新たなスペックに合わせて、役物の動きや速度などを調整し、やりなおすのは・・・。構造担当は、相当大変だったはずですよ。

IC:そうですね。ただ、新しいアイディアを実現する材料が揃っていたという、運の良さもありました。

「その胸の中に、『What’s New』の精神があるから。どんな困難も乗り越えられる」(IC)

― そこまでの大幅な変更を完成目前で行うとなると、PJメンバーの士気を高めていくのも大変だったのでは?

IC:普通なら大変だと思うのですが、「俺、こんなの思いついたんだ!」と言うと、「すごいじゃん!」「やろうよ!」と返してくれるのが、我々鋼チームであり、サンセイR&D全体の特徴なんです。これまでにない新しいものを実現したいという『What’s New』の精神を全員が持っているからこそ、高いハードルも乗り越えられたのだと思います。

KB:気付いたら、「やろうぜ!」と引っ張られて、乗せられていた感じですね・・・(笑)

業界激震!!歴史を塗り替えたシリーズ5作目。
そのインパクトに、業界中がざわついた!?

― 続いて、「CR牙狼金色になれ(以下『金色』)」の特徴を教えてください。導入から数ヵ月たってもホールで空席が出ないほど、人気を博したと伺っていますが、その理由は何だったのでしょうか?

FJ:やはり、専用筐体の『金狼枠』、筐体の上から役物が出てくる『P.F.O.G.(パーフェクトフェイスオブガロ)』が最大の特徴です。今でこそ他メーカーからも似たようなものは出ていますが、当時としては台枠から形を変えて役物が出てくるなんて、誰も想像がつかないことでした。加えて、専用のデバイス「牙狼剣」、盤面の大きなエンブレムの役物、3Dの液晶…、『What’s New』のてんこ盛りです。

IN:こんなものを出してしまって、「今後パチンコ機はどうなってしまうのだろう?!」という衝撃を与えて業界全体をざわつかせた。それくらいのインパクトだったと思います。

「“継承と進化”が求められる牙狼において、限界を突破したのが俺たちだった」(FJ)

FJ:開発当時、すでにユーザーの皆さまの「牙狼シリーズ」に対するイメージは、ある程度固まっていましたから。これまでのブランドイメージを受け継ぐとともに、何かしら新しいものを提供しないと飽きられてしまう。“継承と進化”どちらも重視しながら、限界を突破しようと、チームが一丸となって取り組んだ結果、『金色』が生まれたんです。

― これだけのチャレンジをするにいたった開発秘話を、ぜひ教えてください!

IN:もともとはこれが、最初の『金色』案だったんです。

IC:ええっー!!コレがですか!?

IN:そうそう(笑)。「金色になれ」のタイトルにちなんで、キャラクターである牙狼の「顔」が金色になるイメージで試作まで作っていたんだよね。ところがある時、似たようなアイディアの機種が他メーカーから出るという話を入手して、もう大慌てですよ。

FJ:「もう、やめようか・・・」というくらいの話にもなりましたもんね。

IN:再三、PJメンバーで集まって話し合う中で、他と似たようなものは出したくない。でも「顔」をモチーフにした演出は何としてもやりたい。ということになって、筐体の上から役物が出てくる、『P.F.O.G(パーフェクトフェイスオブガロ)』の案にたどり着いたんです。

「これが『金色』の魅力を決定づけた、伝説のSU・PO・N・JIだ!」(IN)

― ところで、このスポンジは何ですか?

IN:えっ?わかりません?パーフェクトフェイスオブガロですよ!!

写真:パーフェクトフェイスオブガロの元になったSU・PO・N・JI(スポンジ)を手にするIN

一同:笑

IN:筐体の上から、牙狼の顔が半分に割れて出てくる演出のアイディアを、スポンジで作って皆に見せた時のものです。これを見た瞬間、メンバー全員が「これだー!」となったんですよね(笑)

― それにしても、『金色』の豪華な筐体、ギミックのインパクトは、スゴイですね!

FJ:3作目の『鋼』で圧倒的なスペックが確立し、その後4作目、自分たちの5作目となった時に、スペックは同じでも、ユーザーの皆さまには、より新しい遊技感や興奮、感動を与えたい!と強く想ったんです。そんな中で、よりパワーアップした演出や仕掛けを搭載する方向に進んでいきました。

IC:業界的にはインパクト重視の方向に向かっていくことがわかっていたので、他メーカーを含め、皆がより画期的な案を模索していたんです。そういう状況の中で、金色チームが見出したのが「見えないところから出す」という誰もが予想しなかった演出。悔しいけど、この発想はスゴイと思います。

― これだけ豪華なパチンコ機を作るとなると、コスト面の管理などはどうされているのですか?

IN:基本的に、アイディア段階ではコスト面はそれほど気にせず企画を練り、カタチになったところで、予算に見合った内容に抑えるよう調整をしていきます。パチンコ機には多くの技術が搭載されているのですが、我々は極力コストを抑えられるローテク技術を組み合わせ、新しく見せるように工夫しているんです。

FJ:現在、牙狼シリーズのような豪華な内容を搭載したパチンコ機を作れるのは、長年にわたり積み上げたノウハウと技術を持つサンセイだからこそ、実現できるのだと思います。

『鋼』と『金色』、どちらが最強か、
白黒はっきりさせようじゃないか!

― 『鋼』は約7万台、『金色』は約10万台のセールスを記録していますが、シリーズの歴史から振り返ると、どれ程の売れ行きだったのでしょうか?

KB:年度にもよりますが、その年にリリースされるメインスペック機の7~10%を占める台数になると思います。『鋼』『金色』いずれも、その年のトップ5に入っていますね。

― では、これまでの牙狼シリーズにおいて「伝説を創ったパチンコ機」という観点で言うと、インパクトはどちらが上ですか?

FJ:もちろん『金色』です(笑)。『金色』は初期稼働で5万発を超えていましたから。ホールでの遊技機の稼働状況を図る指標があるのですが、開店から閉店の時間まで、ほぼすべての『金色』機に、お客様が座って打っていたというデータも出ています。

IN:ありがたいことに、立ち見のお客様もいらっしゃったと聞いています。

IC:まあそういう意味では、『金色』の方のインパクトがあったのかも・・・

「『鋼』があったから、『金色』がある。忘れてもらっては困るよね」(IC)

KB:いやいや。『鋼』は出荷台数こそ負けていますが、初代牙狼を彷彿させる出玉で、『金色』以上にユーザーの皆さまの期待に応えたと思うよ。

IC:おお、そうだったね(汗)。実は牙狼シリーズは、初代で爆発的な人気を得て、その後の2作目で少し落ち込んだんです。それを『鋼』で持ち直したという点では、俺たちも負けてないですね!!『鋼』の功績がなかったら、その後の『金色』は誕生しなかったとも言えるんじゃないかな(笑)

「Don’t Stop牙狼愛!その凄まじい愛に感動すら覚えます!」(KB)

― お聞きするほどに、皆さんの大きな“牙狼愛”が伝わってきます!

IC:当然!“牙狼愛”なら、誰にも負けませんよ。

IN:それはここにいる皆が同じだよね!鋼チームも金色チームも、愛と情熱を持って取り組んでいますから。毎シリーズ完成するたびに、牙狼の監督さんのもとへ報告に伺うのですが、その都度感動していただいています。もちろん初回シリーズからすごかったんですが、回を重ねるごとに、細かい部分まで再現性が高まって、本物に近づいていると喜んでいただいているんですよ。

KB:特に、商品企画の二人においては、もう牙狼愛が凄まじいんですよ!!ドラマ作品の中に出てくるほんの小さなエピソードも見逃さず、こだわり抜いてパチンコ用の演出に落とし込んでいますね。パチンコ機を打った後に、元ネタを見て気付いた時には、「こんなところまで再現しているのか!」と感動すら覚えます。

「連日繰り広げられる熱い舌戦が、新たな伝説を生む!」(IN)

― 両チームにお聞きしたいのですが、世の中の常識を覆す新しい発想を生み出す秘訣は何なのでしょうか?

IN:ズバリ“雑談”ですね。良い悪いは気にせず、とにかくアイディアを出し合って、「熱いトークをする!」これに限ります。誰か一人の発想では、新しいものは生まれませんから。

IC:ただ、熱いトークから盛り上がって、ドカーンとアイディアが出てこれば、こんなにも苦労しませんけどね(笑)。実際は「ふり絞る」って感じかな。毎回、前作を超えなければとプレッシャーも高まるし。

一同:確かに。そうだね。

IC:鋼チームはフットワークがものすごく良くて、積極的に外へ出ていって、情報収集をしたよね。

KB:商品企画のメンバーが他メーカーのショールームやホールでヒントを見つけてきて、申請担当の私に「こんなシステムや演出があったけどどう思う?」と相談が入ることもよくありますね。他メーカーの動向を調査・研究することも、新しい発想を生み出すために欠かせませんね。

『昨日の敵は今日の友!?
現在は、一緒に開発に携わるPJメンバー

― パチンコ牙狼シリーズは10周年を迎えましたが、現在も皆さんは牙狼シリーズの開発に関わっているのですか?

FJ:はい。現在は次のシリーズの開発に向けて、同じプロジェクトチームのメンバーとして協力している仲間です。実はこの後、開発ミーティングがありまして・・・。

― そうだったんですね。では、次のシリーズがどんな展開になるのか、コッソリ教えていただけませんか?

IC:まだ開発途中ですので詳しくは言えませんが、これまで以上の体感・体験をお届けできるような企画を考えていますので、ぜひ楽しみにしていてください!!

「ズバ抜けて好きだ!そんな熱い想いが牙狼を進化させる」(KB)

― 最後に、パチンコ牙狼シリーズの開発を目指す方に、一言お願いします。

IC:牙狼の開発チームに入ることは、ハードルが高いと思われるかもしれませんが、実際はまったくそんなことはなく、誰にでもチャンスはあります。ですので、「パチンコが好き」「牙狼が好き」という熱い想いを持って来てください!

KB:できれば「ズバ抜けて牙狼が好き!」「自分は開発者より詳しい自信がある!」くらいの人と一緒に仕事がしたいと思います。当然、開発においては数えきれないほどの苦難が待ち受けていますから、それを乗り越えられるだけの気持ちが大切だと思います!

FJ:私自身も、牙狼が好きで中途で入社しました。実際に今、憧れの牙狼シリーズの開発に携わることができ、毎日やりがいを感じながら楽しく仕事をしています。ぜひ皆さんも夢を叶えてください!

IN:「ものづくりが好き」であると共に、「遊び心」を持った方とお仕事したいですね。ゆたかな心があってこそ、ユーザーの皆さまをワクワクさせる『What’s New』な遊技機が生まれるはずですよ!!

― ありがとうございます!新たなメンバーが加わり、さらにパワーアップした牙狼が見られる日が、楽しみです。